インペラ(Impella)CPと5.5の違い|入れる場所・流量・期間・リハビリ

記事「インペラ(Impella)CPと5.5の違い|入れる場所・流量・期間・リハビリ」のアイキャッチ画像。明るい病室のベッドとモニターの写真。左側に「補助循環・ICUの看護」「インペラ CPと5.5の違い」「入れる場所・流量・期間・リハビリ」の文字。 🌿循環・補助循環の看護

インペラには、Impella CP SmartAssistとImpella 5.5 SmartAssistの2つがあります。どちらも左室から血液を吸って上行大動脈へ送るポンプカテーテルで、同じ制御装置を使います。違うのは、入れる場所と入れ方、流量、想定されている期間です。

この記事では、日本アビオメッドのテキストブック(2022年版)、2つの添付文書、日本循環器学会のガイドライン(JCS2023)をもとに、その違いを整理します。

インペラCPと5.5の違いを示した図。上段の左はCP SmartAssistで、代表例として脚のつけ根の大腿動脈から皮膚を穿刺して入れ、先端のループ(ピッグテール)が左心室にある。観察は挿入側の脚・足先。腋窩・鎖骨下動脈から入れる場合もある。右は5.5 SmartAssistで、代表例としてわき・鎖骨の下の動脈に人工血管をつないで外科的に入れる。観察は挿入側の腕・手指。中段は、1本の管が大動脈弁をまたぎ、左心室の吸入部から血液を取り込み、管を通って大動脈側の吐出部から送り出すしくみの模式図。CPは先端にピッグテールがあり、5.5にはない。下段の共通の確認は、手足の色・冷たさ・脈拍、挿入部の出血・腫れ、固定のゆるみ・引っ張り。数値の比較は、最大補助流量がCP 3.7L/分・5.5 5.5L/分、設計上の想定使用期間がCP 8日間・5.5 30日間、大動脈弁輪から吸入部先端までがCP約3.5cm・5.5約5.0cm。

※この図は保存して使えます(スマホは長押し、パソコンは右クリック)。

Q1. 何が同じで、何が違うのですか?

CP SmartAssist 5.5 SmartAssist
最大補助流量 3.7 L/分 5.5 L/分
最大回転数 46,000 33,000
流量の設定 AUTO/P0〜P9 P0〜P9
ポンプの最大径 14Fr(5.05mm) 21Fr(6.74mm)
入れ方 大腿から:経皮的
腋窩・鎖骨下から:外科的(人工血管)
外科的(カットダウン)
入れる場所 大腿動脈、または腋窩・鎖骨下動脈 腋窩・鎖骨下動脈
大動脈弁輪から
吸入部先端まで
約3.5cm(左室側) 約5.0cm(左室側)
設計上の
想定使用期間
8日間 30日間
位置の見張り 位置波形+モータ波形 位置波形+モータ波形
Impellaテキストブック(2022)「各デバイスの性能と比較表」、各添付文書より

同じところもあります。禁忌はどちらも、大動脈弁に機械弁が入っている患者と、中等度以上の大動脈弁閉鎖不全の患者です。MRIはどちらも併用禁忌で、5.5の添付文書は、MRI検査を行うときは本品を患者から抜去するとしています。パージ液はヘパリン加ブドウ糖液で、5.5の添付文書も、留置中はACTを160〜180秒に保つよう書いています。

Q2. 入れる場所と入れ方は、どう違うのですか?

CP:大腿からは穿刺、腋窩・鎖骨下からは人工血管

CPの添付文書の使用目的には「大腿動脈又は腋窩動脈/鎖骨下動脈から」とあり、患者の状態や血管の条件、入れたところより先の虚血のリスクなどを考えて、どちらから入れるかを選ぶよう書かれています。

大腿動脈からは、シースを使って経皮的に入れます。腋窩・鎖骨下動脈からは、穿刺ではありません。添付文書の手順では、動脈を3〜5cmほどカットダウンし、直径6〜10mm程度・長さ20cm程度のダクロン人工血管を60度以上の斜めに切って端側吻合し、その人工血管から本品を入れます。腋窩・鎖骨下から入れる場合は、CPも5.5と同じく外科的な手技になります。

5.5:人工血管をつないで入れる

5.5は、腋窩動脈か鎖骨下動脈からしか入れません。テキストブックは、3〜5cmの皮膚切開で動脈を出すとしています。添付文書の手順では、人工血管を45〜60度の斜めに切って動脈に端側吻合し、その人工血管から本品を入れます。

入れられる血管の条件

腋窩・鎖骨下動脈から入れる場合、テキストブックと添付文書は血管の条件をこう示しています。

CP 5.5
動脈の内径 5.0mm以上 7.0mm以上
右から入れる場合 分枝角度55°以上 分枝角度55°以上
左から入れる場合 分枝角度100°以上 分枝角度125°以上
Impellaテキストブック(2022)、IMPELLA 5.5添付文書より

JCS2023にも、IMPELLA 5.5を鎖骨下動脈に入れる場合は血管径の情報が必要で、心臓CTを撮ることもある、と書かれています。

Q3. 流量と補助レベルは、どう違うのですか?

同じPの数字でも、流れる量が違います。テキストブックの補助レベル別の流量から、いくつか抜き出します。

補助レベル CP(L/分) 5.5(L/分)
P2 1.1〜2.1 0〜1.9
P5 2.3〜2.7 2.8〜3.7
P9 3.3〜3.7 5.0〜5.5
Impellaテキストブック(2022)「補助レベル別の流量」より

この数字は、吸入部と吐出部の圧差が60mmHgの環境で行った体外実験の値で、サクションや留置位置、後負荷によって実際の流量は変わる、とテキストブックは注意しています。また、AUTOの設定があるのはCPだけです。

申し送りでPの数字を伝えるときは、どちらの機種か、いま何L/分出ているかも一緒に伝えると、行き違いが減ると思います。

Q4. どのくらいの期間、使えるのですか?

添付文書には、設計上の想定使用期間がこう書かれています。

  • CP … 8日間
  • 5.5 … 30日間

どちらも「非臨床試験から得られた耐久性の結果」と注記されています。テキストブックは、実臨床でのポンプの耐久性は使い方によって大きく異なり、補助循環の期間は添付文書の記載に従って決めるよう書いています。添付文書は、経時的なモータ消費電流の上昇がポンプ停止につながる可能性があり、上昇傾向があればポンプの交換や他の治療への移行を検討するよう求めています。

CPが長引くとき

JCS2023は、経皮的に入れるIMPELLA CPの想定使用期間は数日間とされ、長引く場合はデバイスの劣化や感染、溶血などの懸念から、IMPELLA 5.5や補助人工心臓(VAD)へのエスカレーションも検討が必要としています。

5.5の位置づけ

JCS2023は、5.5を「より低侵襲で中長期補助が可能」とし、心臓移植や長期VADの適応を判断するまでのあいだの「短中期的な補助による橋渡し」として期待されると書いています。一方で、次のような場合は体外設置型VADの適応になる、ともしています。

  • 入れる動脈が細い(7.0mm以下)
  • 体格が大きいなど、5.5の最大流量でも足りないと考えられる
  • 溶血などの合併症がある
  • 重い臓器障害があり、長期の補助が必要と考えられる

IMPELLA適正使用指針も、IMPELLAは一時的な補助装置であり、離脱できない場合は中長期VADへの移行も考慮するよう書いています。

Q5. それぞれの長所と短所は?

どちらがよいかではなく、患者さんの状態と血管の条件で選ばれるものです。添付文書も、適正使用指針の要件を満たすハートチームで検討して使うよう求めています。観点ごとに並べると、こうなります。

観点 CP 5.5
入れ方 大腿からは穿刺(経皮的)
腋窩・鎖骨下からは人工血管をつなぐ(外科的)
腋窩・鎖骨下から人工血管をつなぐ(外科的)
足りない・
長引くとき
5.5やVADへのエスカレーションを検討 体外設置型VADを検討する場合がある
体位・リハビリ 大腿からだとベッドアップ30°まで。鎮静を覚ますことやベッド挙上が難しい場合が多い ベッド上の運動から、段階的に座位・立位へ
Impellaテキストブック(2022)、各添付文書、JCS2023より。体位・リハビリの5.5の欄は、JCS2023の「鎖骨下動脈アクセスのIMPELLA」の記載

CPは、大腿からなら穿刺で入れられ、腋窩・鎖骨下から入れるときも5.5より細い血管で入れられる一方で、流量と期間が限られ、大腿から入れると体を起こしにくくなります。

5.5は、流量と期間に余裕があり、リハビリを進めやすい一方で、外科的な手技と太い血管が必要です。

Q6. 看護で見るところは、どこが変わりますか?

虚血を見る手足

5.5の添付文書の有害事象には「上肢虚血」が、CPの添付文書には「上肢・下肢虚血」が挙がっています。どちらの添付文書も、入れたところより先の虚血のリスクを検討するよう書いています。

5.5は腕の付け根から入るので、見るのは入れた側の腕です。CPは、大腿から入れたなら脚、腋窩・鎖骨下から入れたなら腕になります。

固定

テキストブック(74ページ)は、5.5の体外に出ているカテーテルシャフトとカテーテルプラグを、次の3点で固定具などを使って固定するとしています。

  1. 固定リングの近く
  2. カテーテルプラグの前
  3. カテーテルプラグの後

そして、患者の移動や体動、体位交換でカテーテルプラグが破損するリスクを減らすため、プラグは臍の上あたりで固定するよう書かれています。固定リングが締まっていること、シャフトの深度マーカの数字を記録することは、CPと共通の確認項目です。ここに書いたのはテキストブックの例で、実際の固定の方法は、取扱説明書と院内の手順に従います。

位置

吸入部の位置の目安は、大動脈弁輪から吸入部先端まで、CPが約3.5cm、5.5が約5.0cmです(添付文書)。位置波形とモータ波形で位置を見張るしくみは同じなので、波形の読み方はインペラの波形の見方がそのまま使えます。

ただし、波形だけで適正な位置だと決めることはできません。どちらの添付文書も、留置位置が妥当かどうかを位置感知用信号の計測結果だけで判断しないこと、アラームが出たときの位置の確認は心臓イメージング(X線透視、心エコー)で行うことを求めています。

体位とリハビリ

テキストブックのICU患者管理チェック項目(188ページ)には「ベッドアップ30°まで・下肢の伸展保持」がありますが、これは大腿動脈から入れた場合の項目です。実際の体位の制限は、院内の手順に従います。

鼠径部からMCSが挿入されている期間は鎮静を覚ますことやベッド挙上も困難な場合が多いので、MCSを入れ替える際には、リハビリテーションを実施しやすい鎖骨下動脈アクセスのIMPELLAや、central ECMOへの切り替えやVAD植込みを考慮する。

JCS2023 第3章 3.5「MCS管理中のリハビリテーション」

JCS2023は、鎖骨下動脈アクセスのIMPELLAなどの場合、ベッド上でのポジショニングや関節可動域運動、呼吸訓練から始めて、段階的に座位、立位へ進めるとしています。座位や立位、歩行訓練は複数のスタッフで行い、バイタルとあわせてデバイスの挿入部や駆動状況も確かめながら進める。そして、座位や立位などの体位変換でカテーテルの位置が動くことがあるので、吸入部と吐出部の位置や溶血を確認する必要がある、とも書かれています。

ここでの書き方は「5.5」ではなく「鎖骨下動脈アクセスのIMPELLA」です。腋窩・鎖骨下から入れたCPにも当てはまる話として読むのがいいと思います。

Q7. 5.5のデータは、どこまで分かっているのですか?

IMPELLA 5.5の承認日は2021年11月22日です(インペラ部会の承認製品一覧)。添付文書には、IMPELLA 5.5 SmartAssistとしての臨床試験は行われていないと書かれています。載っている臨床成績は、前の型であるIMPELLA 5.0を用いた臨床試験のもので、参考として記載されている、とされています。

ただ、5.5の臨床データがまったくないわけではありません。JCS2023は、米国で5.5を使った最初の200例の早期成績(Ramzy 2021)や、5.5で50日を超えて補助し心臓移植へ橋渡しした報告(Zaky 2022)を引用しています。

まとめ ── この4つ

  1. CPは大腿からなら穿刺で入れる。腋窩・鎖骨下から入れるときは、CPも5.5も人工血管をつなぐ外科的な手技になる
  2. 最大流量はCPが3.7L/分、5.5が5.5L/分。同じPの数字でも流量は違う
  3. 設計上の想定使用期間はCPが8日間、5.5が30日間。実際の期間は添付文書に従い、モータ消費電流も見て決める
  4. 5.5は入れた側の腕、プラグの3点固定、体位を変えたあとの位置を見る

わたしは、看護が好きです。
だからこそ、看護の価値を問い続けていたいと思っています。

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参考にした資料

※この記事は一般的な情報であり、個別の医療判断に代わるものではありません。挿入部位や補助期間、補助レベルは、必ず主治医・臨床工学技士・院内の基準にしたがってください。数値はテキストブック・添付文書の記載で、機種やソフトウェアのバージョンによって異なる場合があります。