血圧の見方|収縮期・拡張期・平均血圧・脈圧から循環を読む

「血圧の見方|収縮期・拡張期・平均血圧・脈圧から循環を読む」のアイキャッチ。明るい集中治療室で、壁のアームに取り付けたモニターに赤い動脈圧の波形が映り、ベッドの柵にたたんだ血圧計の腕帯が掛けてある。左側に深い緑のバッジ「循環・補助循環の看護」と、文字「血圧の見方」「収縮期・拡張期・平均血圧・脈圧から循環を読む」。右下に、長い髪で淡い黄色の服を着た象の女の子が、やさしくほほえんでいる。 🌿循環・補助循環の看護

血圧について説明できますか。もし患者さんに血圧って何って聞かれたらどう答えますか。

上の数字なのか、下の数字なのか。平均なのか、上と下の差なのか。同じ「血圧が低い」でも、どの数字がどう動いたかで、考えることが少しずつ変わってくると思います。

この記事では、血圧の4つの数字(収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧・脈圧)がそれぞれ何を表しているのか、血圧がどう保たれているのか、そして「血圧が保たれている」ことと「足りている」ことの違いを整理します。

※生理学の基本は標準的な生理学の教科書(OpenStax『Anatomy and Physiology 2e』)、臨床の数字は日本循環器学会などのガイドライン(心不全診療ガイドライン2025年、補助循環のガイドライン2023年)と日本版敗血症診療ガイドライン2024をもとにしています。血圧の測り方(マンシェットや動脈ライン)は、別の記事でまとめる予定です。

看護学生の方や、まず基本だけ知りたい方に向けて、やさしく説明した記事もあります:血圧をわかりやすく|看護学生のための「4つの数字」のきほん

この記事の結論

血圧とは、心臓が送り出した血液を、全身の組織に届けるための「押す力」です。

  • 平均血圧は、おおよそ「心拍出量 × 末梢血管抵抗」で決まります(Q1)
  • 収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧・脈圧は、それぞれ違うことを教えてくれます(Q2〜Q4)
  • 押す力が足りなくなると、組織に酸素が届かなくなります(Q6)。でも、血圧が保たれていても届いているとは限らないので、意識・尿量・手足の冷たさ・乳酸値と一緒に見ます(Q7)

Q1. 血圧は、何で決まるのですか?

ひとことで:平均血圧は、おおよそ「心拍出量 × 末梢血管抵抗」。どちらかが変われば、血圧も変わります。

血圧のうち、とくに平均血圧を考えるときに大切なのは、心臓が1分間に送り出す血液の量(心拍出量)と、全身の血管の抵抗(末梢血管抵抗)です。

式で書くと、平均血圧 ≒ 心拍出量 × 末梢血管抵抗です(Klabunde)。心拍出量か末梢血管抵抗のどちらかが変われば、平均血圧も変わります。末梢血管抵抗が同じなら、心拍出量が減ると、平均血圧は下がる方向に動きます。

心拍出量

心拍出量は、心拍数と1回拍出量のかけ算で決まります。交感神経の刺激やアドレナリン・ノルアドレナリンのように、心拍数や1回拍出量を増やすものは、血圧を上げる方向に働きます。

ただ、脈が速すぎると、心臓に血液がたまる時間が短くなり、かえって心拍出量が減ることがあります(教科書)。

心拍出量を決める前負荷・後負荷・心拍数・心収縮力の4つの因子については、前負荷・後負荷・心拍数・心収縮力とは|心拍出量を決める4つの因子で循環を見るにまとめました。

末梢血管抵抗(血管の抵抗)

血管の抵抗を決めるのは、血液の粘り気(粘性)、血管の長さ、血管の太さ(半径)の3つです。このうち、粘性と長さは体の中でゆっくりとしか変わらず、すばやく変えられるのは、血管を縮めたり広げたりして変わる太さだけです。

しかも、抵抗は血管の半径の4乗に反比例するので、太さが少し変わるだけで、抵抗は大きく変わります。体の中でいちばん抵抗が大きいのは、毛細血管ではなく細い動脈(細動脈)です。

血液の量

血液の量も、血圧に関わります。血液の量が減ると、血圧と血流は下がります。

Q2. 収縮期血圧と拡張期血圧は、何を表しているのですか?

ひとことで:上は「心臓が送り出したとき」、下は「心臓がゆるんでいるとき」の、動脈の圧です。

血圧は2つの数字で記録されます。たとえば120/80mmHgなら、120が収縮期血圧、80が拡張期血圧です。

  • 収縮期血圧(高いほうの値)… 心室が収縮して血液を送り出したときの動脈の圧
  • 拡張期血圧(低いほうの値)… 心室がゆるんでいるときの動脈の圧

太い動脈(弾性動脈)は弾力のある線維が多く、送り出された血液で広がり、そのあと元に戻ることで、血液を先へ送る圧の差を保つのを助けています。

また、心臓の筋肉を養う冠動脈の血流は、心筋がゆるんでいるときにいちばん多くなり、収縮しているあいだはほとんど止まります。IABPが拡張期にバルーンをふくらませて冠動脈への血流を増やすのも、この時期を使ったしくみだと思います(IABPの看護と観察項目)。

4つの数字をまとめると

血圧の4つの数字を、120/80mmHgを例に動脈の圧の波で示した図。波の頂点が収縮期血圧120、いちばん低いところが拡張期血圧80、点線が平均血圧(MAP)約93、120と80の差が脈圧40。下に4つの枠で、収縮期血圧は1心拍で最も高くなる圧、拡張期血圧は1心拍で最も低くなる圧、平均血圧は1心拍の圧を時間で平均したもの、脈圧は収縮期血圧−拡張期血圧、と説明。平均血圧の概算は80+(120−80)÷3≒93mmHg。波形は模式図で、数値は一例で治療目標ではない。
図:血圧の4つの数字。120/80mmHgを例に、動脈の圧の波で収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧・脈圧を示しています。波形は模式図で、数値は一例です(治療の目標ではありません)。生理学の教科書(OpenStax『Anatomy and Physiology 2e』)とKlabunde『Cardiovascular Physiology Concepts』の説明をもとに作成。
数字表しているもの
収縮期血圧心室が血液を送り出したときの、動脈の圧(高いほうの値)
拡張期血圧心室がゆるんでいるときの、動脈の圧(低いほうの値)
平均血圧1回の心拍のあいだに上下する動脈の圧の平均。組織へ血液を送り込む平均の力
脈圧収縮期血圧と拡張期血圧の差。1回拍出量と、大動脈の広がりやすさで決まる
生理学の教科書(OpenStax『Anatomy and Physiology 2e』20.2)とKlabunde『Cardiovascular Physiology Concepts』の説明をもとに作成

Q3. 平均血圧とは、何ですか?

ひとことで:1回の心拍のあいだの動脈の圧の平均で、組織へ血液を送り込む平均の力です。

平均血圧は、1回の心拍のあいだに上がったり下がったりする動脈の圧を、平均したものです。組織へ血液を送り込む平均の力を表します。

動脈の圧の波の形から求める平均なので、上と下を足して2で割った値とは違い、それより低くなります(Klabunde)。ふだんの心拍数のときは、次の式でおおよその値が出せます。

平均血圧 ≒ 拡張期血圧 +(収縮期血圧 − 拡張期血圧)÷ 3

たとえば120/80なら、80+40÷3で、およそ93mmHgです。ただし、心拍数が多いときは、上と下の真ん中に近い値になります(Klabunde)。ふだんは70〜110mmHgの範囲にあります。

教科書には、平均血圧が60mmHgを下回る状態が長く続くと、組織まで血液を届けるのに足りなくなり、虚血が起こる、と書かれています。ただし、必要な血圧は患者さんや病態によって違い、この数字だけで臓器への血流が十分かどうかを判断することはできません(後のQ6・Q7)。

ガイドラインに出てくる数字は、場面ごとに違う

臨床のガイドラインにも、平均血圧の数字が出てきます。ただ、場面によって数字が違います。また、ここには病態を評価するときの条件と、治療で目指す値が含まれています。数字の役割が違うので、同じ意味の基準として比べることはできません。

場面ガイドラインに書かれている数字資料
心原性ショックの評価で用いる低血圧の目安(診断の一要素)収縮期血圧<90mmHg、平均血圧<60mmHg、または基礎値から30mmHg以上の低下(ガイドラインの表24には、低血圧が30分以上続くこと、収縮期血圧を保つのに昇圧剤が必要な状態も含まれる)心不全診療ガイドライン2025
敗血症性ショックの診断(条件のひとつ)平均動脈圧65mmHg以上を保つために、輸液に加えて血管収縮薬が必要で、かつ血中乳酸値が2mmol/Lを超える日本版敗血症診療ガイドライン2024
敗血症の初期蘇生で目指す値(治療目標)平均動脈圧の目標値を65mmHgとすることを弱く推奨(GRADE 2C)日本版敗血症診療ガイドライン2024
心不全診療ガイドライン2025年(日本循環器学会・日本心不全学会)、日本版敗血症診療ガイドライン2024(日本集中治療医学会・日本救急医学会)をもとに作成

心原性ショックは、低血圧の数字だけで診断するものではなく、組織低灌流の所見などとあわせて評価します(心不全診療ガイドライン2025)。敗血症性ショックの診断も、敗血症であることに加えて、輸液、血管収縮薬の必要性、乳酸値を含む条件で判断します。表の「30分以上」も診断のための条件で、報告を30分待ってよいという意味ではありません。

日本版敗血症診療ガイドライン2024では、平均動脈圧の目標を65mmHgより高く(70〜85mmHg)しても、死亡や腎代替療法が減る効果はわずかで、不整脈・心筋障害・四肢壊死・腸間膜虚血などの重い副作用が増える可能性がある、として、65mmHgを目標とすることを弱く推奨しています。あわせて、慢性高血圧のある患者さんでは、腎臓の血流を保つためにより高い平均血圧が必要な可能性も指摘されています。

どの数字を目標にするかは、患者さんの状態をふまえて医師が決めるものです。看護師は、いま何を目標にしているのかを共有しておくことが大切です。

平均血圧は、心臓のポンプとしての力を表すCPO(心拍出量×平均血圧÷451)の計算にも使われます。CPOの見方は、インペラ(Impella)のCPOとは|数値の見方と看護アセスメントに書きました。

Q4. 脈圧とは、何ですか?

ひとことで:上と下の差。1回拍出量と、大動脈の広がりやすさで決まります。

脈圧は、収縮期血圧と拡張期血圧の差です。120/80なら40mmHgになります。

脈圧が小さいとき

脈圧はふつう収縮期血圧の25%以上あり、それより小さい状態は、1回拍出量が少ないときにみられます。教科書には、例として、うっ血性心不全、大動脈弁狭窄、外傷後の大量出血が挙げられています。

脈圧が大きいとき

脈圧は、1回に送り出す血液の量だけでなく、大動脈の広がりやすさにも影響されます。同じ1回拍出量でも、大動脈が硬く広がりにくいと、収縮期血圧は高く、拡張期血圧は低くなって、脈圧は大きくなります(Klabunde)。運動などで1回拍出量が増えたときにも、脈圧は大きくなることがあります(教科書)。

脈圧の大きさだけで原因を決めず、上と下の血圧がそれぞれどう変わったか、これまでの値と比べてどうかを見ていくことが大切だと思います。

Q5. 血圧は、どうやって保たれているのですか?

ひとことで:下がった血圧を、反射とホルモンで元に戻そうとするしくみがあります。

血圧が下がると、体はそれを元に戻そうとします。おもなしくみは、次のとおりです。

圧受容器反射

大動脈や頸動脈には、血管の伸び具合を感じる圧受容器があります。血圧が下がると、交感神経の刺激が増えて心拍出量が増え、末梢の血管が縮んで、血圧を上げるように働きます。血圧が上がりすぎたときは、その逆に働きます。

ホルモン

  • アドレナリン・ノルアドレナリン … 副腎から出て、心拍数と収縮力を上げる。闘うか逃げるかに直接必要でない臓器の血管を一時的に縮め、血流を肝臓・筋肉・心臓へ振り向ける
  • 抗利尿ホルモン(ADH) … 体液が濃くなったときや、体液(とくに血液)の量が少ないときに働き、腎臓で水の再吸収を増やす。出血のときには、血管を縮めて血圧を上げる働きもある
  • レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 … 血圧が下がると腎臓からレニンが出て、アンジオテンシンⅡがつくられる。アンジオテンシンⅡは強く血管を縮め、ADHとアルドステロンの分泌を促す。アルドステロンは腎臓でナトリウム(と水)の再吸収を増やし、血液の量を増やす

教科書には、こうしたしくみがとても有効に血圧を保つため、出血していても、しばらくは症状が出ないことがある、と書かれています。血圧が保たれているあいだにも、体の中では変化が始まっていることがある、ということだと思います。

Q6. 血圧が下がると、体は何に困るのですか?

ひとことで:組織に血液と酸素が届かなくなり、細胞が働けなくなっていきます。

血圧、とくに平均血圧は、臓器や組織に血液を押し込む力です。血圧が下がると、臓器や組織に流れる血液が減り、そのぶん届く酸素も減ります。臓器や組織に血液が流れることを灌流といいます。

日本版敗血症診療ガイドライン2024には、ショックとは組織への酸素の供給が需要を下回り、細胞の機能障害が生じている状態だと書かれています。Klabundeの解説でも、低血圧は臓器や組織への血流と酸素の供給を減らし、細胞の傷害や機能の低下を起こしうる、と説明されています。

血圧を見ているのは、数字そのものを保つためではなく、組織に血液と酸素が届いているかを知るためなのだと思います。

臓器には、血流を保つしくみがある。でも限界がある

脳・心臓・腎臓には、血圧が多少下がっても、細い動脈を広げて血流をほぼ一定に保つしくみ(自動調節)が強く備わっています。ただし、臓器によって違いますが、臓器にかかる圧(灌流圧)がおよそ50〜70mmHgを下回ると、血管はもう広がりきってしまい、圧が下がるぶんだけ血流が減っていきます(Klabunde)。

日本版敗血症診療ガイドライン2024でも、慢性高血圧のある患者さんでは、腎臓の血流を保つためにより高い平均血圧が必要な可能性が指摘されています(Q3)。「何mmHgなら大丈夫」と言い切れない理由のひとつだと思います。

体は、大事な臓器に血液を回そうとする

出血などで血圧が下がると、交感神経が心臓を刺激し、血管を縮めます。このとき縮むのはおもに消化管・筋肉・腎臓の血管で、脳と心臓の血管はあまり縮まないため、心拍出量は生きるために欠かせない脳と心臓へ振り向けられる、と説明されています(Klabunde)。

つまり、血圧が保たれているように見えるあいだにも、ほかの臓器では血流が絞られていることがあります。尿量の低下は、腎臓の血流が絞られていることのサインとして見ることもできると思います(低灌流のサインはQ7で)。

保てなくなると、悪い流れが重なる

体のしくみで血圧を保ちきれなくなると、悪い流れが重なっていきます。Klabundeの解説には、たとえば次のようなことが挙げられています。

  • 低血圧で冠動脈の血流が減ると、心筋が酸素不足とアシドーシスになり、心臓の働きが落ちたり、不整脈が起きたりする
  • 組織の血流が減って、酸素を使わない代謝(嫌気性代謝)が進むと、代謝性アシドーシスになり、心筋や血管の筋肉の収縮が弱まって、さらに血圧が下がる
  • 脳が虚血・低酸素になると、血管を縮める指令が弱まり、さらに血圧と脳の血流が下がる

そして、重い低血圧が長く続くと、臓器不全や死につながる、とされています。血圧が下がることは、ひとつの数字の変化ではなく、全身の臓器に酸素が届かなくなっていく入り口なのだと思います。

血圧が下がると体の中で起こることを、左から右へ3段階で示した図。①血圧が下がる(針が下がる圧力計)。②体ががんばる:脳と心臓には太い矢印で血液を回し、腸・腎臓・筋肉の血管は縮んで細い矢印になる。③保ちきれなくなると:「さらに血圧が下がる」「心臓や組織に、酸素が届かない」「心臓と血管の力が弱まる」が時計回りの輪でくり返され、輪から「臓器が弱っていく」へ矢印が出る。下に「血圧が保たれて見えるあいだにも、腎臓などの血流は絞られていることがある」。
図:血圧が下がると、体の中で起こること。体はまず脳と心臓に血液を回してがんばりますが、保ちきれなくなると悪い流れがくり返され、臓器が弱っていきます。Klabunde『Cardiovascular Physiology Concepts』の説明をもとに作成。

日本版敗血症診療ガイドライン2024では、組織の低灌流を見る指標として、主に血中乳酸値が用いられています。血圧と一緒に何を見ればよいかは、次のQ7でまとめます。

Q7. 「血圧が保たれている」なら、足りているのですか?

ひとことで:足りているとは限りません。低灌流のサインと一緒に見ます。

そうとは限りません。

心不全診療ガイドライン2025には、血圧は組織の低灌流に対する代償として、血管が縮むことで保たれている場合があるので、血圧などの基準は絶対的なものではなく、臓器の低灌流の所見とあわせて総合的に評価することが重要だ、と書かれています。補助循環のガイドライン2023年にも、同じ趣旨の記載があります。教科書でも、ショックの患者さんで血圧が正常に保たれていることがある、とされています。

あわせて見る、低灌流のサイン

心不全診療ガイドライン2025では、心原性ショックの組織低灌流の所見として、次のものが挙げられています。

  • 意識障害
  • 四肢冷感
  • 尿量の低下(30mL/時未満)
  • 血中乳酸値の上昇(2mmol/Lを超える)

日本版敗血症診療ガイドライン2024でも、敗血症の初期蘇生では、組織低灌流の指標として主に血中乳酸値が用いられ、毛細血管再充満時間の有用性も報告されている、とされています。

逆に、血圧は低くても灌流は保たれていることもある

心不全診療ガイドライン2025で紹介されているSCAIのショック分類では、「血圧は低下しているが、組織灌流は保たれている」段階(ステージB)が示されています。血圧の数字と、組織に届いているかどうかは、いつも同じ方向に動くわけではない、ということだと思います。

だからこそ、血圧を報告するときは、数字だけでなく、意識・手足の冷たさ・尿量・乳酸値などの変化と一緒に伝えられるといいと思います。

Q8. 血圧が下がったとき、どう考えればいいですか?

ひとことで:「心拍出量が下がったのか」「末梢血管抵抗が下がったのか」に分けて考えます。

Q1に戻ると、血圧は心拍出量と血管の抵抗で決まっていました。なので、血圧が下がったときは、まず「心拍出量が下がったのか」「血管の抵抗が下がったのか」に分けて考えると、整理しやすいと思います。

平均血圧が下がる2つの要因を示した図。左は「①心拍出量が減る」:血管の抵抗が同じなら、心臓から送り出す量が少ないと、平均血圧が下がる方向に動く(心臓と、針が下がる圧力計の絵)。右は「②血管抵抗が下がる」:心拍出量が同じなら、細動脈が広がると、平均血圧が下がる方向に動く(細い血管が広がる絵と圧力計)。下に「実際には、2つの要因や体の代償が重なります」。
図:平均血圧が下がる2つの要因。血管の抵抗が同じなら心拍出量が減ると、心拍出量が同じなら血管の抵抗が下がると、平均血圧は下がる方向に動きます。実際には、2つの要因や体の代償が重なります。Klabunde『Cardiovascular Physiology Concepts』の説明をもとに作成。
  • 心拍出量が下がった … 血液が減って前負荷が下がった、心臓が弱って送り出せない、脈が速すぎる・遅すぎる など
  • 血管の抵抗が下がった … 細い動脈が広がりすぎた(敗血症、アナフィラキシーなど)

教科書のショックの4つの分け方を、4つの因子と重ねた表と図は、前負荷・後負荷・心拍数・心収縮力とは|心拍出量を決める4つの因子で循環を見るのQ6にまとめています。

診断や治療方針は医師と共有しながら、看護師は、どの数字がどう変わったか、脈・皮膚・尿量・意識にどんな変化があるかを捉え、緊急性を考えて報告します。

低血圧に気づいたら、まず患者さんの様子を確かめます。急な変化や状態の悪化があるときは、原因を整理し終えるのを待たず、院内の手順に沿って応援要請・報告につなげることが大切だと思います。

おわりに

血圧とは、心臓が送り出した血液を、全身の組織に届けるための「押す力」です。

血圧の数字は、毎日あたりまえのように見ています。でも、上の数字・下の数字・平均・その差は、それぞれ違うことを教えてくれていると思います。

そして、血圧が保たれていることと、組織に血液が届いていることは、同じではありません。数字の向こうにある、体の中の動きを想像できると、血圧の見え方が少し変わってくると思います。

血圧ってなんだろう。臨床でふっと考えることがあります。血圧の上下に一喜一憂することありませんか。

わたしは、看護が好きです。
だからこそ、看護の価値を問い続けていたいと思っています。

参考にした資料

※この記事は一般的な情報であり、個別の医療判断に代わるものではありません。実際の管理は、必ず主治医・指導者・院内の基準にしたがってください。

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