IABPのアラームが鳴ったとき、原因として何が多く、まず何をすればいいのかをまとめました。
読み物ではなく、その場で引く早見表として使ってください。
【はじめにお断り】機種やソフトウェアのバージョンによって、アラームの表記も対応も異なります。この記事は一般的な整理です。正式には装置の取扱説明書と、自施設のプロトコルにしたがってください。
まず、これだけは ── 血液が見えたら、駆動を再開しない
ほかのことを全部忘れても、ここだけは覚えておいてください。
ヘリウムガスの管に血液が見えたら、バルーンが破れています。
添付文書には、こう書かれています。
ガス漏れ検出アラーム時にヘリウムガスルーメンに血液が混在している場合は、バルーンリーク等が疑われるため、ポンピングを再開せず速やかにバルーンカテーテルを抜去すること
「様子を見てもう一度動かしてみる」は、してはいけない対応です。破れたバルーンを動かすと、ヘリウムガスが血管の中に出ていくおそれがあるからです。
見えるサインは、はっきりしている
- ヘリウムの管に血液が逆流している
- 砂のような血の塊が見える
- 水滴のような血液が付いている
どれかひとつでもあれば、駆動を止めて、すぐに医師と臨床工学技士を呼びます。抜去の準備に入ります。
アラーム別 早見表
| アラーム | よくある原因 | 最初にやること |
|---|---|---|
| ガス漏れ検出 | ヘリウムの漏れ/接続の緩み・外れ/バルーンの破損/カテーテルの折れ | まず管の中の血液を見る。あれば駆動を再開せず抜去へ。なければ接続の緩みとキンクを確認 |
| 高圧 | バルーンが広がりきらない/カテーテルの折れ/ヘリウムラインのキンク | 装置までのチューブをたどって確認。患者さんの脚が曲がっていないかを見る。X線でバルーンの位置を確認 |
| トリガ不良 | 心電図が拾えない/電極の剥がれ/不整脈/波形の感度設定が合っていない | 安定して見える誘導に変える。電極を貼り直して固定。感度を調整。電気メスを使うときは圧トリガーへ |
| オーグメンテーション圧の低下 | ヘリウムの充填量が足りない/バルーンの位置がずれた/バルーンの破裂 | 充填量の設定を確認。X線で位置を確認。破裂していれば直ちに抜去 |
| ヘリウムボンベ残量 | ガスの残りが少ない | 臨床工学技士に連絡してボンベ交換。残量は勤務ごとに見ておく |
| バッテリー電圧低下・電源異常 | 電源プラグが抜けている/コンセントの不良/バッテリー消耗 | まず電源プラグを確認。差し直して充電されるか見る。移動やベッド移乗の直後は特に |
スマホ保存用:早見表の画像版
同じ内容を1枚にまとめました。長押しで保存して、夜勤のお守りにしてください。

どのアラームでも共通の初動
表を引く前に、体が動く順番として持っておきたいものです。
- 患者さんを見る(意識、顔色、呼吸、冷や汗。装置より先に人を見ます)
- 血圧と波形を見る(オーグメンテーションが消えていないか)
- ヘリウムの管に血液がないか見る(ここで分岐します)
- チューブをたどる(接続の緩み、折れ、体の下敷き、脚の屈曲)
- 人を呼ぶ(医師・臨床工学技士。ためらわない)
3番でつまずいたら、そこで止めて人を呼んでかまいません。呼ぶのが早すぎて困ることはありません。呼んだあとも、観察と原因の確認は続きます。
鳴らさないための備え
心電図トリガー中は、電極が命綱です
心電図でタイミングを取っているとき、電極が剥がれるとIABPは止まります。
汗、体位変換、清拭、シーツ交換。剥がれる場面はいくらでもあります。だから電極は、貼るだけでなく補強して固定する。ここは看護師にしかできない備えです。
動かしたあとは、必ず見る
体位変換のあと、ベッドを動かしたあと、検査から戻ったあと。アラームはこういうときに鳴ります。
- チューブが体の下敷きになっていないか
- 脚の付け根が曲がっていないか
- 電源プラグが抜けていないか
- 波形が動く前と同じか
この4つを「動かしたらセットで見る」と決めておくと、鳴る前に気づけます。
まとめ
アラームが鳴ると、どうしても装置の画面に目が行きます。
でも、最初に見るのは患者さんです。装置は「何かが変わった」と教えてくれているだけで、何が起きているかを知っているのは患者さんの体のほうです。
そして、覚えておくのは結局ひとつだけでいいのだと思います。
血液が見えたら、動かさない。
あとは表を引けば足ります。全部を覚えている必要はありません。
波形からタイミングのずれを読む方法は、IABPの波形の見方|正常はV、遅いとW、早いとUにまとめています。
バルーン破裂そのものについては、IABPの合併症|なぜ起きるのか、どう気づくのかをどうぞ。
どの合図でバルーンを動かしているのかは、IABPのトリガー|心電図と圧、どちらを使うのかにまとめています。
IABPそのものの仕組みや観察ポイントは、IABP看護Q&Aガイド|仕組み・観察・トラブル対応まとめにまとめています。
わたしは、看護が好きです。
だからこそ、看護の価値を問い続けていたいと思っています。
参考にした資料
- ゼメックス IABP バルーン プラス 添付文書(PMDA)── ガス漏れ検出時の対応、バルーン損傷のサイン
- 大動脈バルーンパンピング:IABP(看護roo!)── アラームの種類、心電図電極の管理
- Intra-Aortic Balloon Pumping(JSEPTIC CE教材シリーズ)── トリガーとタイミングの考え方
※この記事は一般的な情報であり、個別の医療判断に代わるものではありません。アラームの表記・原因・対応は機種によって異なります。実際の対応は、必ず装置の取扱説明書、主治医・臨床工学技士の指示、院内の基準にしたがってください。



