IABPのアラーム対応早見表|原因と最初にやること

記事「IABPのアラーム対応早見表|原因と最初にやること」のアイキャッチ画像。明るいICUのベッドサイドに、IABPの駆動装置が置かれている。画面には緑色の心電図波形が3段に表示され、手前の操作パネルとヘリウムのチューブが見える。奥にベッドと輸液ポンプ、窓の外には緑。 🌿補助循環・ICUの看護

IABPのアラームが鳴ったとき、原因として何が多く、まず何をすればいいのかをまとめました。

読み物ではなく、その場で引く早見表として使ってください。

【はじめにお断り】機種やソフトウェアのバージョンによって、アラームの表記も対応も異なります。この記事は一般的な整理です。正式には装置の取扱説明書と、自施設のプロトコルにしたがってください。

まず、これだけは ── 血液が見えたら、駆動を再開しない

ほかのことを全部忘れても、ここだけは覚えておいてください。

ヘリウムガスの管に血液が見えたら、バルーンが破れています。

添付文書には、こう書かれています。

ガス漏れ検出アラーム時にヘリウムガスルーメンに血液が混在している場合は、バルーンリーク等が疑われるため、ポンピングを再開せず速やかにバルーンカテーテルを抜去すること

「様子を見てもう一度動かしてみる」は、してはいけない対応です。破れたバルーンを動かすと、ヘリウムガスが血管の中に出ていくおそれがあるからです。

見えるサインは、はっきりしている

  • ヘリウムの管に血液が逆流している
  • 砂のような血の塊が見える
  • 水滴のような血液が付いている

どれかひとつでもあれば、駆動を止めて、すぐに医師と臨床工学技士を呼びます。抜去の準備に入ります。

アラーム別 早見表

アラームよくある原因最初にやること
ガス漏れ検出ヘリウムの漏れ/接続の緩み・外れ/バルーンの破損/カテーテルの折れまず管の中の血液を見る。あれば駆動を再開せず抜去へ。なければ接続の緩みとキンクを確認
高圧バルーンが広がりきらない/カテーテルの折れ/ヘリウムラインのキンク装置までのチューブをたどって確認。患者さんの脚が曲がっていないかを見る。X線でバルーンの位置を確認
トリガ不良心電図が拾えない/電極の剥がれ/不整脈/波形の感度設定が合っていない安定して見える誘導に変える。電極を貼り直して固定。感度を調整。電気メスを使うときは圧トリガーへ
オーグメンテーション圧の低下ヘリウムの充填量が足りない/バルーンの位置がずれた/バルーンの破裂充填量の設定を確認。X線で位置を確認。破裂していれば直ちに抜去
ヘリウムボンベ残量ガスの残りが少ない臨床工学技士に連絡してボンベ交換。残量は勤務ごとに見ておく
バッテリー電圧低下・電源異常電源プラグが抜けている/コンセントの不良/バッテリー消耗まず電源プラグを確認。差し直して充電されるか見る。移動やベッド移乗の直後は特に

スマホ保存用:早見表の画像版

同じ内容を1枚にまとめました。長押しで保存して、夜勤のお守りにしてください。

IABPのアラーム早見表。冒頭に「ヘリウムの管に血液が見えたら駆動を再開しない、そのまま抜去へ」。表はガス漏れ検出、高圧、トリガ不良、オーグメンテーション圧の低下、ヘリウムボンベ残量、バッテリー・電源異常の6項目について、よくある原因と最初にやることを並べている。下部に共通の初動として、患者さんを見る、血圧と波形を見る、管の血液を見る、チューブをたどる、人を呼ぶの5段階。

どのアラームでも共通の初動

表を引く前に、体が動く順番として持っておきたいものです。

  1. 患者さんを見る(意識、顔色、呼吸、冷や汗。装置より先に人を見ます)
  2. 血圧と波形を見る(オーグメンテーションが消えていないか)
  3. ヘリウムの管に血液がないか見る(ここで分岐します)
  4. チューブをたどる(接続の緩み、折れ、体の下敷き、脚の屈曲)
  5. 人を呼ぶ(医師・臨床工学技士。ためらわない)

3番でつまずいたら、そこで止めて人を呼んでかまいません。呼ぶのが早すぎて困ることはありません。呼んだあとも、観察と原因の確認は続きます。

鳴らさないための備え

心電図トリガー中は、電極が命綱です

心電図でタイミングを取っているとき、電極が剥がれるとIABPは止まります

汗、体位変換、清拭、シーツ交換。剥がれる場面はいくらでもあります。だから電極は、貼るだけでなく補強して固定する。ここは看護師にしかできない備えです。

動かしたあとは、必ず見る

体位変換のあと、ベッドを動かしたあと、検査から戻ったあと。アラームはこういうときに鳴ります。

  • チューブが体の下敷きになっていないか
  • 脚の付け根が曲がっていないか
  • 電源プラグが抜けていないか
  • 波形が動く前と同じか

この4つを「動かしたらセットで見る」と決めておくと、鳴る前に気づけます。

まとめ

アラームが鳴ると、どうしても装置の画面に目が行きます。

でも、最初に見るのは患者さんです。装置は「何かが変わった」と教えてくれているだけで、何が起きているかを知っているのは患者さんの体のほうです。

そして、覚えておくのは結局ひとつだけでいいのだと思います。

血液が見えたら、動かさない。

あとは表を引けば足ります。全部を覚えている必要はありません。

波形からタイミングのずれを読む方法は、IABPの波形の見方|正常はV、遅いとW、早いとUにまとめています。

バルーン破裂そのものについては、IABPの合併症|なぜ起きるのか、どう気づくのかをどうぞ。

どの合図でバルーンを動かしているのかは、IABPのトリガー|心電図と圧、どちらを使うのかにまとめています。

IABPそのものの仕組みや観察ポイントは、IABP看護Q&Aガイド|仕組み・観察・トラブル対応まとめにまとめています。

わたしは、看護が好きです。
だからこそ、看護の価値を問い続けていたいと思っています。

参考にした資料

※この記事は一般的な情報であり、個別の医療判断に代わるものではありません。アラームの表記・原因・対応は機種によって異なります。実際の対応は、必ず装置の取扱説明書、主治医・臨床工学技士の指示、院内の基準にしたがってください。