「もう無理かもしれない」
そう思ったことはありますか。
その瞬間は、前触れもなく訪れます。
そして、長く看護師をしていると、一度では終わりません。
ある患者さんに言われた言葉があります。
「あなたに何がわかるんだ。この足を失う気持ちなんて、わかるはずがない。」
ただ手術前の処置をしていただけでした。
けれど、その言葉は深く残りました。
看護師でなければ、出会わなかった言葉かもしれません。
夏になると、熱中症のニュースが流れます。
搬送人数や注意喚起の言葉。
けれど、現場で見る熱中症は、
言葉では追いつかない現実でした。
救命救急センターで過ごした時間の中で、
現実とは思えない瞬間を、何度も見てきました。
それでも、看護師をやめようとは思いませんでした。
必死に生きようとする患者さん。
現実を受け止めていく家族。
懸命に向き合う医療者たち。
その姿を見てきたからです。
でも――
看護師だって、怖い。
看護師だって、傷つきます。
腹が立つこともあるし、揺れることもあります。
それでもいいと、今は思っています。
「もう無理かもしれない」と思う瞬間は、
看護師でなければ出会えない時間です。
その瞬間を、どんな経験にしていくのか。
きっと、それだけなのだと思います。
「もう無理かもしれない」と思う瞬間、
あなたにはありますか。


